北東向きのベランダ

半日陰ベランダでの野菜作りと読んだ本の記録

生物と無生物のあいだ 福岡伸一

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)
生物と無生物のあいだ
福岡伸一


生物と無生物の違いはなにか・・・それは気になる。
タイトルに惹かれて購入。

読みやすい。サクサク読める。
後日、書店の売り上げランキングにこの本が入っているのを見て、あーそうかもと納得した。

想定読者は、高校卒業程度の生物学知識を持った人、だと思う。

内容は、分子生物学の過去から現在に至るまでの大まかな流れを追いながら、途中、著者の「生きているとはどういうことか」についての見解も述べられている。
分子生物学どころか高校では地学を選択した(=生物は習っていない)私には、トピックの取捨選択のセンスや内容の正確さを判断できるだけの知識はないので、その辺の考察はパス。

この本が他の科学啓蒙書と違うのは、分子生物学の内容に関する話だけでなく、分子生物学の研究者たちのドラマにかなりのページを割いている点だ。
DNAが遺伝子であることを突き止めたオズワルド・エイブリー、DNAの二重らせん構造の発見に貢献したロザリンド・フランクリン、ドライブデート中にPCRのアイデアをひらめいてノーベル賞を受賞したキャリー・B・マリス。
しかも、多くのページを割いているだけでなく、どの話も読み物として面白い。

「生物と無生物のあいだ」というタイトルを見て、いわゆるジャケ買いしてしまった私は、

  どこからを生物とするのか?
  どこまでを無生物とするのか?
  ウイルスは生物なのか?

といったことに対する考察を求めて読み始めたので、正直、肩すかしをくらってしまった。
ロックフェラー大学の話とか、ポスドク(博士研究員)の境遇とか、そういう話を聞きたいんじゃないんですけど、という。

だが、一旦そういう気持ちを捨ててまっさらな気持ちで読み始めれば、上記の話題も興味深く、どんどん話に引き込まれ、全編を通して著者が言いたかったことも感じ取れた(・・・といっても生物学の素人としての理解なので、あやしいものだが)。

誰かがすでに言っていたと思うが、物語を書くのがうまい理系学者さんというのはめずらしい。

科学啓蒙書としてだけでなく、ドキュメンタリーとして読んでも面白い本だ。
生物学や科学に興味はあるけど敷居が高い・・・とためらっている人も、この本であればとっかかりやすいのではないかと思う。

ちなみに私は、エピローグにある、著者の少年時代の話が一番好きだ。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)
(2007/05/18)
福岡 伸一


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